第1話 『街で見かける捨て看板のワナ』


電柱にくくり付けてある不動産広告の看板を見たことがありますか?

業界では『ステカン』(捨ててもよい看板)と呼んでいますが、あの広告自体違法であることは皆さんもご承知ですよね。


実は私も10数年前、一生懸命お巡りさんの目を盗みながら看板をつけていました (^^ゞ

不動産業界では30年以上前から利用されている広告媒体です。

最近でも新聞の折込チラシは10万部配布しても10件前後の反響しか入らないのに『ステカン』は100枚張って1、2件も反響が入るのです。まさに、広告経費をなるべく抑えたい開業したての不動産屋さんにとって不滅の必要アイテムなのです。

宅建の協会からは再三にわたり禁止通達が出ているのですが、次から次へと新しい業者が誕生しては新たなステカンがお目見えします。

携帯電話の番号しか書いていない看板なんかもありますね。しかしこれも、張れば問い合わせの電話が鳴るという訳ではなく『コツ』があるのです。

業者からしてみれば、コツなのですが、お客様からみるとそれが『ワナ』なのです。

先日こんな看板をみました。
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   新築未公開!限定1棟!
   大型4LDK・車庫2台
      4m公道面
   ○○駅7分 5980万円
      土地30坪
     早いもの勝ち
 
◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇

特に「土地30坪」のところが黒の背景に白文字で強調されています。

「えっ安い!!良さそう!」

「早くしないと売れちゃうかも・・・」

「でもそんな物件本当にあるの?」

「一応、問い合わせしてみよう」

そう思って問い合わせをしたくなる方も多いのでは・・・


■□□ では、皆さんもこの看板のワナを考えてみてください。 □□■


              ♪♪♪


実はこの物件には3つのワナがありました。

★ワナ1・・・・・土地の罠

まず土地の形。

この土地は旗のようなの敷地延長型です。長方形ではありません。(業界では敷地延長を略して『シキエン』とよんでいます。)
車は道路から敷地に入る 間口2.5m×奥行き約10m の部分の土地に縦列で2台とめるようになります。

しかし、車をとめると塀との間は人が通るのがやっとで自転車は入れません。単価の安さを売りにしている土地はこのケースが最も多いです。


★ワナ2・・・・・・業者の罠

問い合わせをしてみると別の会社の社員が「同じグループ会社の者です」と言って現地への案内に同行します。

なぜだかわかりますか?

このケースの場合
以前に公正取引委員会から看板をつけないように警告があったと考えられます。
警告が度重なると業務停止の恐れがあるのでなんと!看板専用の別会社を作り、アルバイトにつけさせているのです (◎o◎)まさに悪質な業者です (-"-;)


★ワナ3・・・・・・文字の罠

このように文字だけだと、とても割安に感じられ購入者意欲をかきたてられるような言葉をズラッとならべています。

この文字を解説すると

「未公開」・・・紙面の広告にはまだ掲載することが出来ない状況
「限定1棟」・・・もともと2棟現場で現在残っている1棟
「早いもの勝ち」・・・本当に良い物件であれば顧客に紹介して売却済み
「4m公道面」・・・前面道路のみ広がっていて、入って行くまでの道が狭い

となります。

つまり、そんなに飛びつくような物件ではないのです。

他にも

「坪数」のみ表示・・・土地が狭い場合には建坪が書いてある
「間口○○m」のみ表示・・・道路が狭い
「人気の住宅地」・・・駅から遠い
「大型○LDK」・・・担当者の思い入れできまる

というケースが多いことを憶えておくとよいでしょう。



(((●本日の教訓●))))))))


    『ステカン』に問い合わせはしない



彼らはお客様からの問い合わせを得るために必死にいろいろなワナを仕掛けています。

なにせ偶然通りかかった一瞬で注意を引くようにしなければ反響がないのですから。

実際に私の経験では「カンバン」に書いてある物件をそのまま購入された方はほとんどいません。

どうしてもその物件が気になる場合はちゃんとした業者に調べてもらえば9割の確率でその物件の資料を入手できると思います。

それでも、わからなくて気になる方は、連絡するしかないでしょうがくれぐれも本当の住所や連絡先は教えないほうが良いですよ。

顧客としてストックされ、営業の電話攻撃に悩まされますよ。