日本の住宅を長寿化へ・・・


国土交通省が検討している中古住宅市場の取引活性化の支援策が、日本経済新聞(平成19年8月26日)にて紹介されておりました。内容は、建物ごとに設計図やその後の改修、点検の履歴などをまとめた“住宅履歴書”制度を作り、国が信頼できると認めた履歴書のある住宅には、減税措置を適用して、中古住宅の質や状態を判断しやすくさせることによって、「良いものを長く使う」方式を取り、日本の住宅寿命を延ばすのが狙いです。

日本は、米国や英国に比べ格段に中古住宅の取引戸数が少ないことをご存知でしょうか?
英国などでは、親子3世代にわたって大切に住宅を住み継いでいくのが一般的なのに対して
日本は、30年〜35年の住宅ローンを組みながら、わずか30年で建て替えを検討するかたがほとんどです。
やはり、その根元に管理力が欠けているからではないでしょうか?
車の場合、いついつに「オイル交換」をしたか、いつに「自動車点検」に出したりといった
正確に管理されていた車のほうが安心して購入することができると思う。
しかし、外車の場合で、どこの国で乗られていた車か分らなく、メーター戻しがされていても
おかしくない車を買おうとは思いませんよね。


このことから予想されるのは、この履歴書制度に対応できる住宅メーカーは、大手の中でも数社に限られ、対応できるメーカーとできないメーカーで差が開き、淘汰まで進むかもしれない。

宅建築のシェアは大手が小さく、大部分は中小の建築会社・工務店が占めており、これら中小の会社がどこまでこれに取り組めるのか。履歴書の管理は、一部大手を除き、第三者の管理会社が必要になるのでは。(ある意味新しい商売の機会、設計会社などか)

また、今も含め、この制度が出来る以前に施工・完成した住宅はどうするのか。私が知る限り、一社を除いて大手でも、新築時や過去の点検・改修履歴などは残しておらず、この制度施行前と後では評価が異なる。(一戸建てと比べマンションなら、建物全体での履歴書も作りやすい。但し、戸別ごとは別)

住宅の長寿化による資産価値の向上とゴミを減らしての環境対策としては良いが、ここ10年〜20年の中古住宅流通市場は、制度前の住宅(履歴書なし)が大半を占めることとなり、この部分に対しての中古住宅市場の整備も何かしらの対策をして欲しいものである。

この制度が始まってどうなるのか。(新築も中古も)高評価される大手ハウスメーカーの建物とそれ以外(対応できないメーカーと中小)で二極化するのでは。さらに、大半を対応できない会社が占めるため、この制度が普及するのかも不安であり、普及するにもかなりの長時間が掛かるのではと思われる。

ただいえるのは、日本人の体質(新しいものにすぐ興味がいく)がこの制度にどのように対応していける
かが今後課題ではないでしょうか?