第5話 『折込チラシに買う物件は無い その3』


中古住宅を探しているお客様の多くは2つタイプの考え方に分かれます。

●1つは比較的築年数の浅い中古(築10〜15年以内)を購入してあまり、リフォーム費用を掛けない方法

●もう1つは、築年数の古い中古(築15年以上)を購入して自分の好みに、大胆にリフォームする方法

果たしてそのどちらかの考えにあてはまる良い中古物件はチラシに載っているのでしょうか?


まず、1つめの方法、築年数の浅いの中古を探すのであれば、「平成○年築」の物件ということになります。

平成の建築ということはバブルが終わって土地の下落が始まっている頃です。
ということは購入した時の価格より現在の価格は下回っていて売却をすると損失になる可能性が高いわけです。(私も平成6年に戸建を購入しましたが、仮に今、売るとすると間違いなく1000万円以上は値下がりしています。(-"-;) )

皆さんが売主の立場ならどうでしょう。

現在の相場が安くなっているという事実を頭では理解できても損失を心情的に整理できないという方も中にはいるのではないでしょうか。

実際、中古物件は売主の気持ち次第で、相場とは関係なく値段をつけていることもあるのです。

つまり、一概に中古=割安とは限らないということです。

また、住宅ローン残高よりも売却価格が下回ることもあります。

その場合、買い換えを考えている売主は、たとえ持ち家の売却をしても、それを次に購入する物件の頭金にすることが出来ないのです。

そういった売主側の立場を考えるとよっぽどの理由がなければ、売りに出すことは考えられません。

買主側にとってはその理由は気になるところです。
「もしかしたら何か悪い条件があって売りに出しているのでは…」なんて。

家庭の事情や転勤などで止むを得ずという場合ならよいのでしょうが例えば近隣とトラブルを起こしたからとか環境が悪い、振動や騒音がある、など…特別な事情があることも考えられます。

税金の滞納などを理由に競売にかけられ、業者が落札してリフォームをかけて再売りをしているケースもあります。

とにかく「安く買えればいいんだ」という方は別ですが築年数の浅い物件に問い合わせをする場合は仲介業者に必ず売却の理由を聞いてみてください。

もし、物件も見て、さらに購入を検討する場合はそれとなく近隣の住民に売主の状況を確かめると良いでしょう。

売却理由がどのようなものであっても悪いイメージを持たれないように
    「買い換えだと聞いてますよ」
などと平気でいい加減な返事をする業者はいくらでもありますから。


     ◆・・・・・◆・・・・・◆

   
2つめの方法、築年数の古い中古を買ってリフォームをするのであれば探す物件の対象としては昭和50年代築の物件が対象となるのでしょう。

最近、TVの番組で流行っているせいかこの方法を考える方も多いようです。

チラシには平成築の物件よりも多く掲載されています。

しかし、木造で築15年以上経過して評価がほとんど無い建物に何百万円もリフォーム費用を掛ける価値が本当にあるのでしょうか?

新築当時に注文建築で素材に凝った建物で適切なメンテナンスを行っているのであればまだリフォームする価値があるのかもしれませんが劣化が著しい建物が多いのが現状です。

古くなって味わいが出てくる建物はごく稀です。

また、リフォームを内装を中心に予算組みをしているとその後、防水工事や外壁の修理など思わぬ出費に悩ませられることもあります。室内の使い勝手を優先すると構造上の問題が生じることもしばしば…

中古物件を購入するのであれば、建物自体よりもむしろその土地の価値に重点を置き、将来的に換金性の高い物件を探すほうがよいと思います。

すなわち少し予算を落として土地値に近い中古物件を購入し、リフォームはクロスや畳の張替え程度に抑え、そのまま数年住むか賃貸にして新築に建替える方法です。

いずれにせよ、中古物件はリスクが伴います。
新築物件のように保証期間は長くないので何かトラブルがあった場合に仲介業者の働きが特に大切です。

【新築編】の教訓でお話しましたように、しっかりと良い業者を見極め誠実に対応してもらえそうな仲介業者を選びましょう。

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