建築基準法改正の余波


国土交通省が30日発表された10月の新設住宅着工戸数は、7万6920戸で前年同月比35%減と4カ月連続で減少となりました。
過去最大の下げ幅となった9月(同44%減)ほどでないものの、6月の建築基準法改正による建築確認の審査厳格化の影響が国内景気に広がっています。
このため経済産業省は資金繰りが悪化した関連業者の支援に乗り出すなど、政府も本格的な対策に乗り出はじめました。
国交省の発表によると、とくに落ち込みが大きかったのは分譲マンション。首都圏が同73・0%減、近畿圏が同72・5%減という調査結果が出ています。

同月の建築確認件数は5万3218件で前年同月比11・1%減。ただ、20%台の落ち込みだった8、9月からは減少幅が縮小されました。とくに、構造計算の不要な木造2階建てなどの小規模建築物が同4%減で、改正法施行前の水準にまで戻ってきたのです。
建築確認件数は着工戸数の先行指標ともいわれることから、同省では今後、着工ペースが上向く可能性があるとみています。

一方、冬柴鉄三国交相が30日の閣議後会見で「現場に出かけ、関係者の生の声を聞きたい」とコメント。建築確認の現場などの実情を自ら視察する考えを表明しました。

また、経財産業省は設計、工事など関連15業種の中小企業を対象に、民間金融機関から借りた資金返済の公的保証枠を拡大する緊急支援をスタート。来年3月までの時限措置で担保のある普通保証の上限2億円、無担保保証の上限8000万円をそれぞれ2倍に引き上げました。

しかし、これまでの民間調査会社の東京商工リサーチによると、着工遅れで資金繰りに窮したことなどが原因で倒産した建設業者は、9〜11月で9件にのぼっています。

事の発端は姉羽建築士の構造計算偽造でした。
業界を大きく揺らしたこの問題の余波は、いったい何時まで続くのでしょうか?